
ダーズリー一家が魔法をこれほどきらう理由は?
ダーズリー一家に誇れるところがひとつあるとすれば、それは完全に普通だということだ――いや、本当に。彼らは「普通の」通りにある「普通の」家に住み、「普通の」車に乗っていて、ダーズリー氏は穴あけドリルを製造するグラニングズ社の社長という「普通の」仕事をしている。意味不明なことや、ほんのちょっとでも不思議だったり謎めいていたりすることにはがまんできない――魔法というものは、まさにそれだ。
きわめて頭のかたいダーズリー一家にとって、自分たちが少しでも魔法にかかわりがあると知られることは最悪の悪夢だ。
人に知られたら、ひどいはじをかくばかりか、変わっていると思われるかもしれない――そんなことは許せない。ダーズリー一家にしてみれば、普通じゃないと思うことや、理解できないことは、疑いと恐怖の対象である。よくあることだが、その恐怖がにくしみや怒りに変わったのだ。
そんなわけで、ダーズリー一家は魔法なんて存在しないふりをして、ハリーの魔法の力をおさえこむのが最善だと考えた。だからハリーが空飛ぶオートバイの夢を見たと話したとき、バーノンおじさんはあんなにおこったのだ。だからホグワーツからの手紙をハリーにわたすまいと必死だったのだ。これは、ダーズリー一家がハリーをあれほどひどくあつかってきた理由のひとつでもある――ハリーはダーズリー一家が抱える最大の秘密の象徴なのだ。
だけど、ペチュニアおばさんが魔法をけぎらいするのには、もうひとつ別の理由がある。やきもちだ。ペチュニアは妹のリリーに魔法の力があることをひどくねたみながら成長した。いつも妹のせいで影が薄くなり、両親も妹のほうを大切にしていると感じていたのだ。
大人になると、ペチュニアはリリーの家族とはかかわらないことにした。そもそもバーノンとの結婚を望んだのも、リリーとはちがって、バーノンがどこまでもありふれた人間だからだ。
全体として見ると、ダーズリー一家が魔法をきらう理由はかなり単純だ。魔法をおそれ、理解できず、かたよった判断をしていて、いくらかは嫉妬(しっと)もある。まったく、なんとゆかいな人たちだろう。